2009年01月08日

11 かのはじまりのとき



bigining.jpg
 
 
 自分が公の教室の面前で全裸で聖子の前にペニスを突き出していたときの場面が、それ自体そのまま、既に運命として定められていたことのように感じる。

「感じる?」
「ああ、感じるわ」

 そう思うなんてとても不思議な感覚だ。もしかしたら、そう感じるこの精神それ自体が、既に壊れてしまったのかもしれない。あのとき、公の教室の中で、ぼくは勃起して射精しそうになっていた。でもそのとき、ぼくは、今、ここにいる聖子と、こうして裸でお互いの身体を交えているように、そのことを夢想していた。それが、今の現実なのか、それとも、あのときの夢想なのか、だんだんわからなくなってきた。
 聖子の硬く閉じた大臀筋と大臀筋の間に汗が光っている。そこに指を這わせると、簡単にすべって中にもぐりこむ。今まで硬かった尻が急にやわらかくなって、両脚の間から桃色に光る濡れた花弁が開く。ぼくはその蜜を吸うように唇をすぼめて、それを吸う。

「あっ、ダメ」

 ぼくは今、きみのやわらかく濡れた花弁に唇をつけている。すると、神聖な気持ちがしてくる。これ以上ないくらい崇高な感情。それはきみがぼくを許してくれているからだ。ぼくはきみの花弁の奥まで舌を入れ、味わう。

「愛してる?」
「ああ。愛してるわ」
「本当?」
「ああ。本当よ」

 あのとき、きみはぼくの勃起した生身のペニスを視ていた。そして、今、きみはそれを口の中に入れ、ゆっくりと自分の舌で愛撫してくれている。そのせいでぼくは崇高なものを信じるように、感情が震えている。
 そして、きみの身体も震えている。

「感じるの?」
「あー。感じるわ」
「本当に?」
「本当に本当よ。ほんとう。・・ああ感じる。もう・・ダメ・・」

 ぼくは、かのはじまりのとき、すでにいた。
“私”は初めにいた。
 神は私だ。
 そして、きみもそこにいた。創世の初め、ぼくら男女は、楽園にいた。かのはじまりのときすでに、きみとぼくは男女であり、こうしてふたりでひとつになっていた。そんなふうに思うなんて、ぼくは狂っているのかもしれない。でも・・。

 昂奮した二人は、我を忘れてお互いの性器を舐め合っている。
そして、もう我慢できなくなってきた男根を、彼女の口から外し、彼女の濡れた花弁の奥に挿入する。

 ガラガラと長屋の台所の勝手口が開く音が聞こえてくる。
 お互いにお互いの性器を交わらせて抱き合っていた二人は、我に返る。
 ぼくは聖子の太ももの間から男根を抜き出し、聞き耳を立てる。
みしみしと居間の畳を踏む音が聞こえる。田口が帰ってきたのだ。そして、こちらに近づいて来る。
「田口さんが帰ってきた!」
 息を潜めて言うと、聖子は慌ててぼくの体から離れた。
 ぼくは射精しそうになっているペニスの口を握った。
 一瞬、精子を吐き出しそうになって堪えた男根が痙攣する。
 田口はきっとかなり飲んでいるに違いない。田口が飲むときは最低でも一升は飲む。
 聖子は慌ててブラジャーを掴んで胸を隠した。
「ちょっとここで待っててくれる?」
 急いでTシャツを被り、Gパンを穿いた。
 聖子は不安そうな目をしてぼくを見ながら、脱がされた衣服の固まりを掴んで裸の胸と腰を隠し、ビニール小屋の奥の方まで、座ったまま後ずさりして行った。
 ぼくは長屋のビニールハウスの裸電球を素早く消してから、腰をかがめて狭い通路を通り、居間に出て行った。

「よう。どうだった?」

 田口はランニングシャツを着て、そこに立っていた。
 ちょうど入って来ようとしているところだったから、ぼくが出なければ、聖子は裸のまま見つかっていただろう。
 田口がビニール部屋に入って来ないように前に立ちはだかって足元を見ると、裸足の親指が真っ赤になっている。顔も体も真っ赤だ。アルコールが皮膚から蒸発して臭っている。相当飲んでいるに違いない。が、田口はいつものように人の良さそうな笑いを浮かべてぼくを見ている。
「どうだった? 加奈子さんいい人だっただろ。おまえ、彼女に気に入られたんじゃないのか!」
 いつもより饒舌になって冗談を言っている。
 ぼくは居間の方に彼を誘導して行くと、田口はそのまま台所に向かい、冷蔵庫からビールを出してきて居間のちゃぶ台の上に置いた。
「おまえも飲むか?」
「うん」
「グラス持って来いよ」
 台所に行き、グラスを二つと栓抜きを持って、急いで居間に戻った。
 田口は自らビールの栓を開け、手酌で注いで一気に飲み干した。
「どうだ。モデルは? 楽勝だっただろ!」
「うん」
「おまえ、ああいうの、病み付きになるんじゃないか」
「そんなことないよ」
「おれは嫌いじゃないけどな」
 田口はぼくのコップにビールを注いだ。
「じっと自分の身体を見つめられるってのも悪くないだろ」
「いや・・ぼくは田口さんみたいに舞踏家じゃないから・・」
 コップを持って、ビールを一気に飲み干した。
「まあそうだな。おまえはどちらかというとエンターテイナーじゃないからな!」
「うん」
 真っ暗にしたビニールハウスの奥に息を殺してうずくまっている聖子が気になった。
「でも、加奈子さんに来週もやってくれと言われただろ」
「いや。またお願いするって言ってたけど、来週とは言わなかったよ」
「そうか、でも、おまえ、来週もオレの代わりに行ってくれよな」
「え、来週? どうして? もう嫌だよ」
「嫌か。どうして?」
「だって千円しかくれなかったから・・」
「え? 千円?」
「そう、千円」
 田口はゲラゲラ笑った。


 
 
 
 
posted by hoshius at 08:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 狂犬革命 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。