2009年01月02日

17 バスルームから出るとそこは別世界だった


 
 
「あたし、見ちゃいけなかったのね」
 バスタオルをぼくに渡しながら、加奈子はわざとらしく言った。
 裸でバスルーム(そう、それは“風呂場”というより“バスルーム”だった。明るい照明に照らされたガラス張りのドアの中には、寝ながら浸かれる大きな真っ白いバスタブがあって、中の湯はジャグジーのように泡立っていた。真っ赤なタイル張りの壁には、ステンレス製の棚が光っていて、手の届く所に高級そうな舶来のボトルに入ったシャンプーやソープ、何に使うのかわからない液体の入った綺麗なガラス瓶やオイルの小瓶などが並んでいた。むせ返るような香水の匂いのする石鹸を手に取り、海綿につけて身体をこすると、もったいないほどの贅沢をしている気分になった。ぼくは全身をくまなく洗い(ペニスも海面にたっぷりソープをつけて匂いを洗い流し)、シャンプーで髪も洗った。ヒゲを剃りたいと思ったが、剃刀が無かったので叫んでみた。「あの、すみません! ヒゲ剃りなんてないですよね!」。近くにいたらしい加奈子の声が聞こえた。「あるわよ。持って行く?」。バスルームに入ってきた加奈子は「これでいい?」と言って、どこかのホテルの袋に入った髭剃りをバスタブに浸かっているぼくに手渡した。「ごゆっくり」。濁った湯の中に浸かっているぼくを見て加奈子は笑った。バスタブの中できれいにヒゲを剃り、バスルーム、そう、それは“風呂場”ではなく、“バスルーム”だった)から出た。
 すっかり生まれ変わったような気がした。
「着替え、あなたに合いそうなの捜したのよ。これを着てね」
 わざとこちらを見ないようにしてタオル地のガウンを裸のままつっ立っているぼくに手渡した。男物の大きな黒いタオル地の高級そうなガウンだった。ぼくが脱いだびしょ濡れのTシャツとジーンズは、近くにあった大きな洗濯機(コインランドリーの乾燥機のように中が丸見えの丸いガラスの扉が付いている)の中で回っていた。
「あ、これ? ごめんなさい。濡れてたから洗濯しちゃったわ」
「いえ。ありがとう」
「ポケットに入っていたあなたの物、そこに出しといたわよ」
 黒いガラス製のモダンな洗面台の上には高級そうなブランドの香水が並んでいて、キラキラ光っている。その横に、グシャグシャの札と小銭と先生が書いたメモ紙がびしょ濡れになって、ひと塊のゴミのように置いてあった。
「ゆっくりしてってね。空いてる部屋があるから、もしよかったら居てくれてもいいのよ」
 加奈子は先生のようにではなく、女のように言った。
「田口さんの所には戻らないんでしょ?」
「はい」
「これから行く所あるの?」
「いいえ」
「じゃあ、ここに居てくれると嬉しいんだけど。あたし、一人だから、ボディーガードになってくれない?」
「え?」
「あら、ごめんなさいね。あなたに払うバイト代のこと、すかっり忘れてたわ。悪いことしちゃったわね。あたしが間違えてたみたい。今、渡すから、こっちにいらっしゃい」
 加奈子はつかつかと先に歩きだした。
 ぼくは洗面台に置いてあったものを掴むと、彼女の後について行った。
 廊下を歩いて大きなリビングに出た。
「そこに座って」
 大きくてワインレッドの革張りのソファーに腰掛けた。モダンなデザインで、本物の豹の毛皮が敷いてある。なんだか高そうで、その上に座るのは気が引けた。それでも、高級なガウンを着たまま毛皮の上に座ると、なんだか自分が偉くなったような気がした。
 ベネチィアンレッドの壁にはマチスの “ダンス”の切り絵がモダンな黒いガラスの額に入れて掛けてある。本物だろうか。買ったら幾らくらいするのだろうか。その横には、ベネチィアングラスの瓶やグラスが並んだアンティークな鏡張りの食器棚があり、高い天井からは、キラキラとクリスタルな光を反射させているシャンデリアがぶら下がっている。照明は決して明るくないが、なんだかぼくには眩しいくらい豪華な部屋で、居心地が悪かった。
 偉そうに、突然こんな所に座っている自分が、さっきまでしていたことをぼんやりと考えていた。
「このままで御免なさいね」
 加奈子は、一万円札を一枚そのままぼくに手渡した。
「あたしがうっかりしてたみたいね」
「いいえ」
「これはお詫びのしるしよ」
 もう一枚、一万円札を渡してきた。
 黙って座っているのが居たたまれなかった。すぐにここを出たかったが、着るものが無いのを知っていたので、ただそこに座っているしかなかった。受け取った札を重ねて折り曲げ、手に握っていた自分の持ち物と一緒にガラスのテーブルの上に置いた。
 加奈子は、ぼくの目の前の一人掛けの椅子に座った。さっき、白いBMWで迎えに来たとき、ぼくは何をしていたのだろう。隣に座っていたのに、彼女を見た記憶がない。今、彼女は、大きな襟が胸元まで開いた真っ白い絹のように光沢のあるブラウスを着ている。学校にいたときはもっと襟が小さい別のブラウスを着ていた。開いた胸元から白い乳房の谷間が見える。薄い絹地に覆われている山の頂上はきちっとブラジャーに包まれていて、突き出した乳首の先の刺繍が透けて見える。さっき学校でデッサンを教えていたときとまるで印象が違う。さっきよりも濃い化粧をしていて目の上には青いシャドーが入っている。それに、今はルージュの口紅が引かれていて、濡れたように光っている。帰ってきてから化粧し直したのだろうか。ポニーテールの髪も今は結んでいない。長く伸ばした髪が、しっとりと濡れて匂っている。きっとぼくがさっきまで居たバスルームに彼女も入ったばかりなのだと思った。
「あなた、結婚ってどう思う?」
 加奈子はいきなりぼくに訊いてきた。
「え? 結婚? あまり考えたことないけど・・」
「そうよね、あなた、若いから。でも、結婚したいと思ったことある?」
「え? あまり・・」
「そう。男の人は結婚なんて、どうでもいいのかしら」
 加奈子は立ち上がり、大きなリビングに備え付けてあるキッチンの方に歩いて行った。
 後ろから見ると、真っ白い絹のパンツの下に、ヒップに食い込んだパンティーの形が透けて見える。
「コーヒーでいい? それとも紅茶にする?」
「あ、じゃあ、紅茶がいいです」
「ロシアン・ティーにする?」
「あ、はい」
 ぼくはすっかり借りてきた猫のようになって答えていることに気付いた。
 藍色のペルシャ風の模様が描かれた白磁のティーカップに入った紅茶と、苺ジャムの入った銀の小皿、重たそうな銀のスプーンを載せたインド風の螺鈿の彫刻が刻まれたお盆を加奈子は運んできてガラスのテーブルの上に置いた。
 こんなにもてなされる理由はない。それでも、美術品のように彫刻された銀のスプーンでジャムを掬い、紅茶に溶かしてみた。
「どうぞ。もっとブランデーが欲しかったら言ってね」
 味見をするようにスプーンで紅茶をすすると、高級なブランデーの香りが口の中に広がった。
「あたし、バツイチなの。子供ができなくて、調べてもらったら・・そういう身体なんだって。それで、別れたの。いいえ、別れさせられたって言ったほうが正しいのかしら・・フッ。そんな男だったのよ。家柄や世間だとか名誉だとか、そんな外面だけを気にしてる男。別れて正解だったわ。あんなつまらない男。・・あら、ごめんなさいね」
 口をつけたティーカップを受け皿に置かずに持ったまま、ぼくが黙っているのを見て、加奈子は我に返ったように言った。
「あなた、お腹空いてるんじゃない?」
「いいえ」
「そう? さっき作ったスープがあるの。食べない?」
 あまりもてなされると居心地が悪くなる。
「冷たくしてもおいしいと思って、さっき冷蔵庫に入れておいたのよ」
 オープンキッチンの方に歩いていく加奈子を見ていると、急にぼくは、自分が借りてきた猫のように振舞っているのが嫌になった。
 立ち上がって、彼女を引き止めた。
「いらないよ。もうなにも!」
「あら、どうして?」
「いらないよ。お腹空いていないから!」
「あら、どうして急にそんなに怒るの?」
「うるさいな! あんた、田口さんに何言ったんだよ!」
 大声で、ストレートに言ってやった。
 すると、口惜しそうに顔を歪めた加奈子は、強気に言い返した。
「あなた! めぐみちゃんにいたずらしたくせに!」
 加奈子は、一瞬ひるんだぼくから、羽織っていたガウンを暴力的に剥ぎ取った。
「あら、ごめんなさい」
 全裸になったぼくの下半身を見つめて毒々しい口調で言った。
「あなた、男子トイレで射精したんだって? めぐみちゃんに聞いたわよ。あなた、あのときは、随分興奮してたものねぇ」
 加奈子は、ぼくの下を向いたペニスを見て、更に嘲笑するように言った。
「あなた、見られると興奮するみたいね。でも、あたしじゃダメなのかしら?」
 加奈子は、ぼくの目を見ながら、下を向いたペニスに触った。
「あたしにもしてみたら? めぐみちゃんにしたのと同じこと・・」
 加奈子は着ていた絹のブラウスのボタンを外した。
「いいからやりなさいよ! あたしにはできないって言うの。ほら!」
 片方の肩を上げて、胸をきつく覆っていたブラジャーを乳房から外した。
 形のいい胸の膨らみが重たそうに揺れて、片方だけ露わになった。
「いいのよ。遠慮しないで」
 濡れた目をしてぼくを見つめた。
 ぼくは黙って、豹変した女を見つめ返した。
「あなた。童貞?」
 加奈子は挑発するように、ゆっくりとブラジャーをもう一方の乳房から外すと、ブラウスの前をはだけて見せた。
「どう?」
 自信ありげに露わにした二つの乳房は大きく張っていて、たしかに魅力的だった。
「あなた、男になりたくないの?」
 でも、いやらしいくらい勃起した乳輪の先に奮え立つ乳首を見つめても、ペニスは下を向いたまま勃起してこない。
「なんだ。人畜無害な優男! びびっちゃったの?」
 ぼくは悔しくなって言った。
「さっき、結婚についてどう思うって訊いたよね」
「そうだったわね」
 加奈子は首を斜めに傾けて、ブラウスの前を閉じ、乳房を隠した。
「結婚って、子供を作るためにするもんだって思うよ」
「あら、そう。それで?」
「セックスだってそうだと思うよ」
「そう? じゃあ、子供のできない女とはやらないって言うこと?」
 ぼくは黙って肯いた。
「あ、そう。わかったわ」
 加奈子は急に後ろを向くと、決意したようにリビングの奥にある豪華なオーディオセットの方につかつかと歩いて行った。
 突然、スピーカーから、ストーンズの『ギミー・シェルター』のイントロのエレキ・ギターが大音量で響いてきた。
 加奈子は遠くからぼくを見つめ、音楽に合わせてストリップ・ダンサーのようにステップを踏みながらこちらに近づいてきた。
 絹のブラウスの前をはだけて、既に乳房から外れていたブラジャーを手に持ってくるくる回し、ぼくめがけて放り投げた。
 背中に両腕を回して薄いブラウスを腕から脱ぎ捨てると、露わになった重たそうな胸をわざと前に突き出して左右に振ってみせた。それから両手でそれを隠し、後ろを向いてぼくの方に振り返った。
 真っ白い絹のパンタロンに両手をかけると、わざと腰を振りながら前屈して、ゆっくりと下まで降ろした。
 白いパンティーが尻の谷間に食い込んでいる。
 加奈子は尻を突き出し、後ろをむいたまま最後の一枚をゆっくりと尻から外した。そして、両脚を広げてフィギュアスケートのダンサーのようにバランスをとりながら裸の尻を突き出し、筋肉質の大臀筋の間の谷間が無防備になったのをぼくに見せつけた。それから、脚を伸ばしたまま前屈して、片脚ずつ抜き取ったパンティーを人差し指で回しながら、つま先でステップを踏んでこちらに近づいて来た。そして、いきなりそれをぼくの顔めがけて放り投げた。
 加奈子の裸体は筋肉質で、全裸になると、まるで人が違ったように淫乱な女になって、バレリーナのようにリビングの中をグルグルと旋回し、天井を仰ぎ、脚を開き、ジャンプし、ぼくを挑発するように腰を振って踊りながら近づいて来た。
 ベリーダンサーのように下半身を波のようにうねらせたかと思うと、裸のウエストをぼくの性器に接触させた。
 びっくりして見つめるぼくの手を取り、裸でダンスしようと誘った。
 ぼくは急に可笑しくなって、思わず大声で笑った。そして、ぎこちなく彼女の硬い裸の身体を抱いた。
「あなたって、かわいいのね」
 タンゴのステップでリードしながら、彼女はいきなりぼくの口に唇をつけてきた。ぼくの舌がそれに応えると、ぼくの顔に、口にキスしながら、おどけた仕草で跪いて、ペニスを触り、冷たい舌で舐め回した。
 ぼくはくすぐったくて、声を出して笑った。
 ミック・ジャガーと女性ソウル・シンガーが声を合わせて「戦争がおっぱじまりそう!」と歌っている。それを聞いていると、なんだか、気が遠くなってきた。
 ソファに引き返そうとすると抱き締められて耳元にささやかれた。
「こっちに来て」
 リビングの奥にバーのカウンターがあった。
「あなた、何飲む?」
 加奈子はカウンターの奥に入り、グラスにラムをストレートで注いだ。
「これでいいわね。あなたは」
 勝手に飲み物を決めて、研かれてピカピカに光るカウンターの上に置いた。
 ぼくは黙って背の高い椅子に座った。
「ここにはドラッグは無いけど、アルコールならいくらでもあるわよ」
 加奈子はカウンターの上に置いてあったマルボロにマッチを擦って火を点け、棒の先で燃えている炎を吹き消した。
 白い煙が天井に上がった。
 お互いに全裸のまま、加奈子はバーカウンターの向こうでタバコをふかし、ぼくはこちらで、高い椅子に座って出されたラムを舐めていると、タバコが吸いたくなった。
「一本貰っていい?」
 箱を叩いて出されたマルボロを引き抜き、口にくわえると、加奈子がマッチを擦って火を点けた。棒の先で燃えている炎をタバコの先で吸い込むと、紫色の煙が肺を熱くした。加奈子はもう用のないマッチの先で燃えている炎を、またフッと吹き消して、エメラルドグリーンのガラスの灰皿に落とした。
 タバコを吸ってアルコールを舐めていると、加奈子があたしにも飲ませてと言った。自分で好きなものをグラスに注いで勝手に飲めばいいと思ったが、そうではないらしい。
 加奈子はバーのカウンターを回ってこちら側に来て、ぼくの横に座った。
「あなたの口から飲ませて」
 ラムを口に含んだままキスをしろということか。
 加奈子はカウンターに置いてあるDonQと書いてある瓶から、また アルコールをグラスにたっぷり注いだ。
「ラムよりブランデーの方がいいよ」
 わざと我がままを言ってやった。
「ブランデー? 冬でもないのに?」
「だって、さっきロシアン・ティー入れてくれたじゃないか!」
「アハ。そうだったわね」
「そこに入ってたやつだよ!」
「わかったわ。そんなに慌てないで。今、出すから」
 加奈子はまたカウンターを回って棚から新しいブランデーグラスを出し、ナポレオンを並々と注いだ。そして、またカウンターを回ってぼくの横の椅子に脚を組んで座った。太ももに挟まれた下腹部の筋肉がうねっている。
 カウンターの上に乳房を乗せて、加奈子はひじをついて、ぼくに寄り掛かってきた。
 裸の肩と肩がぶつかった。加奈子の長い髪が腕に絡まり、頬が触れ合った。
「あなた、これがいいんでしょ」
 加奈子はブランデーが注がれたグラスを持って、ぼくの口元に運んだ。子供にジュースを飲ませるようにぼくの顎を上げ、口に注ぎ込んだ。
 口の両脇から酒がだらだらと零れ落ちた。が、咽喉の奥から食道を通ったアルコールは胸まで達して、体の内側を燃やした。顔は、火が点いたように真っ赤に火照った。
「だめじゃない、こぼしたら。あなた、赤ちゃんみたいね」
 加奈子はまたブランデーをビールのようになみなみとブランデーグラスに注ぎ、ぼくの顎を掴んで口にたらした。
「あたしにも飲ませてって言ったでしょ。だめね。きみって。ほら、もう一度」
 身体が熱くなって、加奈子がペニスを掴んで愛撫しているのにも気付かないくらい酔いが回り始めた。
「あら、こんなにこぼしちゃって」
 ブランデーグラスの中に残ったナポレオンを、わざとぼくのペニスにこぼして、亀頭を指先でいじっている。
「熱いよ!」
 思わず叫んだ。
「あら、ぼく、まだあたしに飲ませてくれていないのに、自分ばっかりそんなにいい気持ち?」
 今度は急にサディスティックな気分になったらしい。加奈子は瓶ごと ぼくの口に注ぎ込んできた。身体にこぼれたブランデーで熱く濡れた肌の上を、冷たい指先が這い回った。
 酔いが回ってコントロールを失い、どうでもよくなってきたから、ぼくは口の中に含んだアルコールを、お望みどおり加奈子の口の中に吐き出してやった。
 加奈子の舌が絡まってきた。
ぼくだけが、かけられた酒でびしょびしょになっていたから、余っていたナポレオンの瓶を持って加奈子の首筋にも掛けてやった。
「これでおあいこだ」
「いいわよ」
 首から胸を伝って股の間まで、加奈子の裸体がブランデーで濡れた。
 止まらないくらい可笑しくなって、息ができなくなるくらい笑った。
 残っていたラムも全部、加奈子の頭に注いでやった。
 ブーケのアルコールの匂いが女の髪の匂いと混ざり、欲情と区別がつかなくなった。
 身体中が火が点いたように熱くなった。
 加奈子は濡れた髪を後ろにぬぐって額を左右に撫でてから、椅子から降りて、カウンターを両手で掴んで後ろ向きになった。振り返ってぼくを見つめる目が色っぽくて思わず欲情した。
 加奈子はジャズダンサーのように裸の尻を上げた。
「あなたの、入れてみる? ここよ」
 脚を開いて持ち上げた尻が、酒に濡れて真っ白に光っている。
 ぼくは突然狂ったように欲情して、椅子から降りて加奈子の後ろに回り、持っていたドン・キホーテ・ラムの空瓶を彼女の尻の間のヴァギナに突っ込んだ。
「ひどいわ! そんなの入れて! 本物のあなたのを入れてって言ったでしょ!」
 加奈子はヒステリックに叫んで、脚を広げて尻を上下に動かした。
 ラムの空瓶を女の身体から引き抜いてカウンターに置き、代わりにナ ポレオンの空瓶に持ち替えて、穴の中に入れた。
「あなた、本当は、弱虫なんじゃない!」
 憎憎しげに加奈子が毒ついた。
「ちがうよ!」
「だったら、早く、あなたのを入れてよ!」
 ぼくは、加奈子のベトベトの尻から瓶を引き抜いて前に回り、ラムの匂いがする加奈子の濡れた髪を掴んだ。
 加奈子の顔は髪を掴まれたまま、軟体動物のような唇と舌がぼくの肉体の表面の肌を下に伝い、股の間で止まって、熱くなったペニスを咥え込んだ。そのまま加奈子はゆっくりと床に仰向けに倒れ込み、しゃぶっていたキャンディーを口から外しながら言った。
「あなた、ドラッグやりながら女とやってたんでしょ!」
「やらないよ!」
 仰向けで両脚を広げて自分で股の間を愛撫しながら、茹でた肉のように上気してピンク色に染まった加奈子の顔が、卑猥な両脚の間からぼくを見ている。ただ目だけが正気で、狂気と正気の境を問質すようにぼくをじっと見つめている。
「アルコールだってドラッグよ。そうでしょ?」
 それに答えるように、上から両脚を広げて押さえ込み、ブランデーの匂いのする口で加奈子の膣を舐めた。
 陰毛の間から覗いている穴に舌を入れると、潮の匂いがした。
加奈子は身体をくねらせて、自ら後ろ向きになって言った。
「それに、セックスだってドラッグじゃない? ちがう?」
 尻をぼくの顔の上に乗せて、今度は加奈子が上位になった。加奈子の下半身に口を塞がれ、ヴァギナとそこから匂う香水の臭いで窒息しそうになった。
「あなたの、入れてもいいのよ。ほら、ここよ」
 加奈子が入れてもいいと言っている所に、ぼくの反対になった目玉があった。顔をどかして、そこに中指を入れた。
「あたしのからだ、子供できないんだから・・いいのよ。入れても!」
 加奈子はじれったそうに言うと、後ろ向きに床に四つん這いになって尻を上げた。
「心配しないで。入れていいのよ・・。さあ、入れて!」
 後ろ向きになった尻を広げると、ピンク色の血が滲んだ赤い洞窟の入り口が、地獄の門のように口を開けていた。ぼくは、その上に口を結んでいるピンク色のつぼみに、真っ赤にただれて灼熱している亀頭の先端をつけた。そこは堅く閉じていたから、地獄に引き込まれないような気がした。
「そこはちがうでしょ! もう!」
 冷たく亀頭の先端の皮膚に張り付いた粘膜は堅く口をつぐんだままで、「駱駝が通れない針の穴」のように狭く、ぼくは天国に入るのを諦めきれない富める者のように、そこを何度も突いた。
「いいわよ・・。そこでも・・。あなたがそうしたいなら」
 加奈子は堪忍したように言って、自らの手で尻を広げた。その拍子に、もう一つの、もっと濡れていて容易に入れる口の中に滑り込んでいった男根を感じて、加奈子が言った。
「あー。いいわ。そう、そこよ」
 加奈子は、尻を広げて床に顔を押しつけ、体の中に突き刺さった肉棒を下の口の中に深く咥え込んだまま、それに何度も体の中を突かれながら、上の口で、うわ言のように喋っていた。
「あー・・そう、そうよ・・そこよ・・あなたを視たとき・・そう・・あなたの・・あの・・あなたの・・大きくなった・・ああ・・おっ・・立った・・ファロス・・あんな所で・・卑猥だわ・・盛りのついた狂犬だって・・あんな・・ペニス・・チン・・チン・・してやしない・・あーイヤ・・あんたって・・本物のヘンタイだわ・・あんな所で・・あんなもの・・露出させて・・犯罪よ・・あたしみたいな生まず女を・・犯すのを・・ああ・・狙ってたのね・・ストーカーみたいに・・近づいて・・やめて・・痴漢・・ああ・・ダメ・・あなたの・・硬いモノ・・この体の中で・・吐き出す気?・・いいわ・・・いいわ・・そうさせてあげるから・・ああ・・あたしを・・守ってね・・あたしを・・あたしの・・このからだを・・あなたの・・アレ・・あの男から・・あー・・思い出した・・憎たらしい!・・こんなときに・・こんな時こそ・・思い出す・・あの野郎・・憎たらしいあの男・・お願いだから・・あなた・・殺して!・・ああ・・いい!・・あいつを・・お願い・・なんでもしてあげる・・こうやって・・なんでもするから・・あたし・・いつでも・・あなたの奴隷になる・・だから・・殺ってね・・アア・・絶対に・・あいつを・・あの野郎を・・あのゲスを!・・うぅ・・あぁ・・そう・・いい・・あの男に・・穢された・・あたしを・・ああ・・いいわ・・あなたの・・その・・棒で・・あぁ・・その・・精子で・・うぅ・・あたしを清めて・・ああいい・・いいわ・・あー・・ダ・ダメ・・ダメダメ・・あ・そんなにしちゃ・・こわれちゃうわ・・ああ・・いいわ・・あたしを・・こわして!・・あーダメ・ダメ・・もうダメよ!・・あぁ・・いい、いいわ・・」


 
 
 
 
 
 
 
posted by hoshius at 02:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 狂犬革命 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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